2012年5月ーデモ・ニコニコ超会議・ロース

もう5月である。新刊ではなくなっているものも含めていくつか紹介したい。

「デモ」とは何か 変貌する直接民主主義 (NHKブックス)

「デモ」とは何か 変貌する直接民主主義 (NHKブックス)

デモとは何かを、OWSなど最新の情勢も反映しつつ記述した本。著者は79年生まれと若い。網羅的な本である性格上相対的にすべてが配置されてるいる感は否めず、著者独自の切り取り方があるというわけでもない。序章と1章・終章は新事実も多く現在進行形の事実をうまく切り取っているが、2章から4章はどこかで一度見たような紋切り型の記述に終始している。政治の季節として大正デモクラシーから1970年代までも描き、消費社会とデモの停滞の1980年代、90年代以降と素人の乱。2章〜4章までのあいだで芸術とファッションへの目配せがあるが芸術は既に『ストリートの思想』(毛利嘉孝)があるので、ファッションの記述がよかった。



震災以後もっとも感動したスピーチ。
大江健三郎群像1月号より15年ぶりの新連載『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』を開始している。

震災以後ということでいうとこの本に所収の多和田葉子の小説、「不死の島」がすばらしかった。

反原発の思想史―冷戦からフクシマへ (筑摩選書)

反原発の思想史―冷戦からフクシマへ (筑摩選書)

絓秀実氏の著作でも、反原発デモなど運動史を読み解く中で、宮沢賢治松岡正剛、宝島文化などカルチャーの面にも触れていたのが非常に面白かった。ただ、論理的に貫徹しているか疑問な文章もいくつかあったりバイアス抜きには読めない文もある。

表象〈06(2012)〉

表象〈06(2012)〉

一年に一度でる表象文化論学会の学会誌。冒頭は小林康夫森村泰昌の対談「Échec et mat――白のゲームとして」。
駒場のマリリンなどが語られている。
ほかにも、岡本源太「〈ペルソナの隠喩〉再論」、千葉雅也「不気味でないもの──ラカンドゥルーズ、メイヤスーを介した自然哲学のスケッチ」、星野太「放物線状の超越――ミシェル・ドゥギーにおける「崇高」の誇張的読解」、熊谷謙介「「イマージュ」から「イメージ」へ――郷原佳以『文学のミニマル・イメージ――モーリス・ブランショ論』書評」 、前川修「指紋にとり憑かれること――橋本一径『指紋論』書評」が載っている。

一方、情報処理学会の学会誌が創刊以来初めて売り切れになったというニュースが先日あった。
売り切れ直後に特集部分だけを別刷りにしてすぐさま販売する手腕に、さすが情報処理が早いですね、となったわけだ。
「初音ミク効果」健在 特集の「学会誌」売り切れ : J-CASTモノウォッチ
ちなみにピアプロとは、クリプトン・フューチャー・メディアが運営するコンテンツ投稿サイトのことである。

ニコニコ学会βを研究してみた (#NNG)

ニコニコ学会βを研究してみた (#NNG)

ニコニコ学会!!!

第2回ニコニコ学会βシンポジウム[DAY1]@ニコニコ超会議
第2回ニコニコ学会βシンポジウム[DAY2]@ニコニコ超会議
ニコニコ超会議で開かれた第2回ニコニコ学会βの模様はアーカイブが残っている。

Winnyの金子勇さんも登壇された。

ネットとリアルの断絶の終わり――「ニコニコ超会議」が示したものを考えてみた | ニコニコニュース

井上理さん執筆の【ネット上の才能を現実世界に解放〜ドワンゴの挑戦】。
(1)「ニコ動」で進行するコンテンツ革命、熱狂の舞台裏 :日本経済新聞
(2)多様性と共感のメディア「ニコ動」、超会議の真意 :日本経済新聞

あとは最近読んだ本の羅列。

都市の政治学 (岩波新書 新赤版 (366))

都市の政治学 (岩波新書 新赤版 (366))


多木浩二
10+1 web site|多木浩二先生を悼む──零の淵源 大澤真幸

傑作!

Adolf Loos              Ludwig Josef Johann Wittgenstein

Oskar Kokoschka            Otto Weininger

編集出版組織体アセテート│アドルフ・ロース著作集1『虚空へ向けて』


ジョルダーノ・ブルーノの哲学―生の多様性へ (シリーズ・古典転生)

ジョルダーノ・ブルーノの哲学―生の多様性へ (シリーズ・古典転生)


Giordano Bruno
バチカン―ローマ法王庁は、いま (岩波新書)

バチカン―ローマ法王庁は、いま (岩波新書)


Benedictus XVI
六〇年代演劇再考

六〇年代演劇再考

岡田利規平田オリザ宮沢章夫のあっけらかんとした鼎談が興味深かった。


同シンポジウムの書籍化。
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目次
六〇年代演劇再考によせて(竹本幹夫)
前口上  岡室美奈子

【Ⅰ 創造者たちの証言】
唐十郎が語る紅テント (唐十郎、聴き手・堀切直人
演出家の役割  (蜷川幸雄、聴き手・扇田昭彦
「言葉への戦術」をめぐって (別役実、聴き手・岡室美奈子
運動としての演劇−演劇センター68/71をめぐって (佐藤信、聴き手・ディヴィッド・グッドマン)

そして幕は閉じた (横尾忠則
【Ⅱ 記憶と継承】
コーヒーハウス・クロニカルズ−ラ・ママ実験劇場の半世紀 (エレン・スチュワート、オージー・ロドリゲス、藤藪香織、二ノ宮祥子、司会・岡室美奈子
黎明期の寺山修司−映像作品の観点から (安藤紘平、九條今日子萩原朔美
現在から見た六〇年代演劇 (岡田利規平田オリザ宮沢章夫、司会・松井憲太郎)
【Ⅲ 批評者たちの証言 】
六〇年代演劇の軌跡と影響 (扇田昭彦
アングラ演劇とはなんだったのか? (大笹吉雄
六〇年代演劇の歴史的位置と現在 (菅孝行
アングラの「亡霊」 (佐伯隆幸)
【Ⅳ 六〇年代演劇を再考する 】
アングラの行方‐運動、救済、革命 (ディヴィッド・グッドマン)
驚異の書物‐六十年代演劇の言葉を読む (梅山いつき)

編者あとがき (梅山いつき)
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木嶋佳苗

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

女(北原みのり @minorikitahara )からみた木嶋佳苗
G2 vol.10

G2 vol.10

男(佐野眞一)からみた木嶋佳苗
書き手がちがうことで驚くほど受け取り方も変わってくる。

木嶋佳苗が朝日新聞記者に送った手記全文
NHKスペシャル|木嶋被告 100日裁判
4月13日(金)には佐野眞一がTBSラジオdigに出演。「木嶋佳苗被告に死刑判決」をテーマに語った。
北原みのりさんの木嶋佳苗裁判傍聴記 - Togetter

創 (つくる) 2012年 06月号 [雑誌]

創 (つくる) 2012年 06月号 [雑誌]

北原みのりのインタビュー『木嶋佳苗とは何者か』掲載。
ニコ生AERA「オンナ目線の『毒婦・木嶋佳苗』論〜金とセックスと練炭と〜」 - ニコニコ生放送


宮台真司 (@miyadai) ×青木理


photographers' gallery press no. 10「ジョルジュ・ディディ=ユベルマンーイメージで思考する」
フランスの哲学者・美術史家であるユベルマンの詳細な特集。
http://pg-web.net/home/information/press10/index.html


Georges Didi-Huberman

『イメージの前で』は先頃翻訳されたばかり。
岡田温司による書評。

都現美で開催中の田中敦子 アート・オブ・コネクティング展にあわせてこの辺りを読んでも良さそうです。

「具体」ってなんだ?―結成50周年の前衛美術グループ18年の記録

「具体」ってなんだ?―結成50周年の前衛美術グループ18年の記録

美術評論家の岡部あけみさんが監督したこちらの映画はみてみたい。

田中敦子 もうひとつの具体 [DVD]

田中敦子 もうひとつの具体 [DVD]